『(コラム)金融機関における遺産整理業務の報酬相場』
金融機関で受託されている遺産整理業務ですが、一般的な業務の流れと報酬相場は以下のようになっています。
なお、相続人間で紛争が生じている場合や、相続人に行方不明の者がいる場合など、受託を拒否されるケースもあります。
『遺産整理の流れ』
(1)相続人の確定
(2)遺産整理業務に関する委任契約の締結
(3)相続財産・債務の調査および財産目録の作成
(4)相続財産・債務の評価
(5)遺産分割協議書の作成
(6)遺産分割の実施(相続財産の名義変更等)
(7)遺産整理業務完了報告の実施
『遺産整理業務の報酬相場(税込)』
金融機関における遺産整理業務と報酬体系について、体系的に整理させていただきます。
1. 基本手数料(預貯金残高に応じた段階的料率)
a 1,000万円以下:2.2%
b 1,000万円超3,000万円以下:1.65%
c 3,000万円超5,000万円以下:1.1%
d 5,000万円超:0.55%
※最低手数料:11万円程度
2. 個別手続き手数料
a 相続関係説明図作成:22,000円~
b 遺産分割協議書作成:33,000円~
c 相続手続き代行:11,000円~(1件あたり)
3. オプションサービス料金
a 相続税申告支援:110,000円~
b 不動産売却支援:物件価格の3%程度
c 遺言書保管サービス:年間5,500円程度
4. 特殊案件加算
a 相続人多数の場合:1名追加ごとに11,000円
b 相続財産が複雑な場合:基本手数料の20%増し
c 緊急対応の場合:基本手数料の30%増し
主なポイント:
1. 業務範囲の明確化
a 基本業務とオプション業務の区分け
b 各業務の具体的な作業内容
c 必要書類の確認
2. 報酬体系のポイント
a 財産額による段階的な料率設定
b 個別作業ごとの追加料金
c 特殊事情による割増料金
3. 業界動向
a 銀行:基本的に預貯金のみを対象とした業務
b 信託銀行:不動産を含む総合的な相続対応
c 専門事業者:より細かな対応が可能
4. 留意点
a 事前の見積もり提示が必要
b 業務範囲の明確な説明
c 追加料金が発生する場合の事前説明
d 相続人全員の同意取得
*これらの報酬相場は目安であり、金融機関によって異なる場合があります。また、案件の複雑さや緊急性によって変動する可能性があります。
また報酬の基準となる相続財産額について不動産を対象外としている金融機関や報酬額に上限を設けている金融機関、WEBを活用した遺産整理業務により報酬額を安く設定している金融機関もあります。契約前に必ず詳細な見積もりを確認することをお勧めします。
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